放課後スイーツ物語 〜甘い秘密と銃撃戦〜 感想



『放課後スイーツ物語 甘い秘密と銃撃戦』イベントストーリーの感想を書き殴りたいと思います

今回は復刻開催となるので初回時の衝撃も復刻時の感動もまぜこぜで語っていきます

イベントストーリーや絆エピソードのネタバレ含むのでご了承ください







前置き

書き始める前に前置きさせてもらいます
感想を書くぐらいなので当然私はこのイベントストーリーが大大大の大好きです
それはもう雷に打たれたような、心にグサリと杭を打たれたまま今日までずっと刺さり続けてます

ただ読み手によって賛否が分かれる場面があることは認識しています
確かに棘のある表現が使われていたと思うしそれが下手に刺さってしまった人には低評価、一方でそれがいいんだよ!という人の高評価もあり強火の議論も起こってしまったのかなと思います

個人的な見解は後ほど述べるとして、一般論としては読み手それぞれで背景も状況も違うので、感情移入する深さもポイントも違って当たり前でしょう
ただそれと同様に作中のキャラクターにも背景があり状況があり感じ方も違うわけで、「自分だったら」の感情移入がすぎると物語をうまく飲み込めないケースも出てきてしまうのだとも思います
感情移入できるからこその感動、行間を読むからこそ伝わる真意も間違いなくあるので、程度の問題ではありますが立場を1つに決めずいろんな角度から作品を観られたらいいですよね
(自分が自分である以上それが一番難しいのですが……)

まぁそれもキャラクターの言動に矛盾が生じたり、話を転がすための舞台装置として扱われたりだと前提が崩れるので……「やっぱ程度の問題だなぁ」という結論に逃げさせてもらいます

以下の感想も良かったポイント刺さったポイントをご自身と比べながら違いを楽しんでいただけたら幸いです



イベント開催前の印象

スイーツ物語の予告を見たのは自分がブルアカを始めて1ヶ月ほど経った頃でした

ちなみに自分が初めて経験したイベントは一つ前の『出張!百夜堂海の家FC計画』です
そちらの方はまだろくにメインシナリオを読んでない頃&前後編あるイベントの後編ということで、知らないキャラが知らない関係性でお祭りやってるという“ソシャゲらしいイベスト”の域を出ない感想でした
今読んだら全然違うと思うのでアビ夏復刻ともども今から楽しみです

その後メインストーリーを読みエデンで感情が爆発して
ブルアカのシナリオすげぇ!
早く新鮮なブルアカのシナリオが読みてぇ!!!
と期待しまくりのところで新イベントの告知がありました

さてこのイベントを語り始める前に欠かせないのが第一印象だと思います
ブルアカはギャップ造りの天才ですが当時の自分はまんまと引っかかってしまいます

まずスイーツ部に関してはグループストーリーで女子高生やってる子たち、という印象しかありませんでした
キヴォトスに普通の女子高生はほとんどいないので珍しかった
特にカズサに関してはサービス開始当初から居たのにやっと実装なので、誰にとっても謎多き生徒だったみたいで
キービジュから四者四様の表情豊かでどんな登場をするのかワクワクしまくりでした

そして右の謎の女ですよ
当時トリニティで立ち絵のないキャラはスズミと電話越しに話していたレイサぐらい
自警団のキャラだとするとスイーツ部と接点がなさそう?自警団なのにスイーツ部と撃ち合う展開になる?などレイサじゃないかもという予想もあったかと思います
自警団といえば正義が人の形をしているスズミのイメージで固まっていたのかもしれません

極めつけはこの公式PVの1カット

こんの人を小馬鹿にした表情さぁ〜〜〜〜〜〜
もう面白くなる要素しかねぇなと思ってました

とにかくすべての先生にとって予想がつかない予告だったこともあって、その盛り上がりに新参である自分も加われて楽しみすぎて変なテンションだったのを覚えています




初対面のカズサ

ストーリー本編の感想に入っていきます
カズサから連絡があり話を聞くとストーカーに悩まされているとのこと

いやーやっぱイベストで先生と初対面のキャラとのお話だとより前のめりになっちゃいます
いろんな出来事を経て解像度が上がって関係性を構築していくのが醍醐味というか…
カズサはことさら初対面の初々しさ?余所余所しさ?が強調されていました
大人相手だから敬うべきだと分かっているけど敬語には慣れていない、というのがこれでもかと描写されます

トリニティにはミカやコハルみたいなそもそも敬う気のない生徒はいたもののお嬢様学校らしく自然な敬語で話しかけられることが多く、その点カズサは珍しかったです

それを裏付ける元スケバンとの告白

そしてしれっと宇沢呼び

ブルアカのゲーム上で生徒の名字を見る機会が少ないため特別な関係性を感じ取ってしまいますよね
ヒナの小鳥遊ホシノ呼びとか印象的ですよね

いい機会なので有志wikiのキャラ呼称表 を見てみたらカンナのようなお堅いタイプか初対面の相手への名字呼びはありましたが、交友のある相手へは見つからず…

うーん匂わせてくるなカズサ〜
いいですよこれは、いい匂いです
呼び方一つで関係性を匂わせてくる、本当にこれは韓国発のゲームなのかと何度思わされたことでしょうブルーアーカイブ

カズレイの強火はまだまだ続きます

アチチチチチチ
ちょっと火が強すぎませんか?
ここのレイサへの憤りは過去の自分に対しての恥ずかしさに起因するものでしょう

先生に話す中で自分の感情を整理していってるような、自分に言い聞かせてるような話し方好き

カズサは自分の感情を“恥ずかしさ”だという
恥ずかしさを覚えるのは他者の目線を気にした自身への負の感情だと思います
それは自身がなにかを直接嫌う負の感情とは似て非なるものです
お母さんが嫌いなのとお母さんと一緒にいるところを見られるのが恥ずかしいのとは違いますよね(男児並みの感想)
カズサがスケバン時代のことを「なんであんなことしてたんだろう」と後悔しているとしても、原因が違えば解決法も違います
詳しくはまた後ほど

ここがこのストーリーの大切なところだと思いますし、ブルアカで度々語られるテーマにも繋がっていると感じています



レイサとの初対面

カズサやレイサのことを確かめるためにスズミを通してレイサに連絡することに

先生との関係もチュートリアルの頃より深まっているのでしょう
スズミの自然で流暢な敬語が、よりカズサのぎこちなさを強調します

自警団についての詳しい掘り下げもまだないのでいつか見たいですね
正義実現委員会という治安維持組織がある中であえて自警団を続けているのにはただならぬ事情がありそうですし、正実はもちろん救護騎士団やシスターフッドとも関係あるでしょうし一本イベスト作れそうじゃないですか?
正直スズミ主役の物語がイベントで来る気配がサラサラ無いのでスピンオフ小説とかでなんとかならんですかね……

人のいいスズミにすら濁されるレイサ、もう声がなくても声が聴こえてきそうです
声がつく前から声がウザい、期待を裏切らない宇沢レイサでした

そしてこのシーン個人的な注目ポイントが

のしたスケバンにすら恥ずかしいと言われる始末
わかりやすく先ほど触れたカズサの“恥ずかしさ”との対比ですよね
カズサが“恥ずかしい”と蓋をした行為を変わらず続けているレイサ
まぜるなキケンの香りがしますね

考えなしで突っ込む危なっかしさ、恥ずかしい台詞を恥ずかしげもなく言えるまっすぐさ、レイサの陽の部分がギュッと凝縮されています

混乱してても二つ名を忘れない、さすがにヒマリさんのように流れる水のごとくペラペラと出てくる訳では無いですが
演じているというよりもこの言動が身についているといった方がよさそうです

この口すき
キリがないので自重しますが、レイサはほんとに表情がコロコロ変わって愛らしいですよね……

スズミと先生の言葉に混乱するも飲み込む時間がほしいと立ち去るレイサ
立ち絵が震えてからフレームアウト
ショックを受け止めきれていない描写が分かりやすいです

ブルアカは細かい効果音もそうですが立ち絵の動きでも魅せてきますね
ノベルゲーの揶揄として紙芝居と表現されることがありますが、自分は人形劇を観ている感覚です
これをアニメーションで動かせばよりよい物ができるかと言われるとそうでもないのが面白いところですよね
(それはそうとしてボイス付きやアニメーションで観たいシーンも多くありますが)


スイーツ部の関係性

場面は変わってスイーツ部の部室に先生が訪れます

こういう本筋に関係ないやり取りってバッサリカットでも成り立つとは思うんです
でも無駄なのに洗練されたこの会話が挟まるおかげでキャラが実在性を帯びるというかキャラが生きていることを実感できていいですよね!(オタク特有の早口)
その点今回のイベストでは、随所で感情に素直な反応を見せてくれるヨシミが物語への没入感を生んでくれていたと思います

いや〜〜さすがにいいですよね
頭に浮かんだことが次から次に口から出てくるヨシミ、それをたしなめるでもなく見守るアイリ
まちがいなく悪口ではあるんですが、それごときじゃ揺るがないスイーツ部の関係性が見えてきます
ヨシミは普段から面と向かってカズサに言ってそうですし、この(本人に自覚がなさそうな)裏表のなさがヨシミの良さですよね

そしてスイーツ部といえばこの人、食べる哲学者ナツは先生の真意を汲み取るように話します

ナツはやっぱええな〜
それっぽいことを言いたがる厨二病的側面もあるのですがそれだけではない
自分にも他人にも関心を向けて問いと答えを繰り返し真理を求めるまさに哲学者
それは子どもっぽさとは真逆の印象です
そのチグハグさがたまりません

またそれをスイーツ部は「ナツはこんなやつでしょ」と自然に受け入れている
もうこの時点で何者をも受け止めるスイーツ部の器のデカさを感じます
上っ面の言葉だけでない強固な関係性が出来上がっています

だからこそ先生も満足したのですがここで痛恨のポロリ
カズサの秘密がスイーツ部にもバレてしまいます
ここが読み手によって賛否が分かれるポイントその1だと思います

論点としてはまず先生がわざとかわざとじゃないか、ですかね
まぁ個人的にはどっちでもいいというか明確に言及されてないのでどう捉えてもいい場面だと思います
終盤の描写から先生には解決の道筋が見えていてその過程であえて見せた、としてもいい
先生がまったくやらかさない完璧人間…なわけないのはみなさんご存知だと思うのでほんとにチョンボした、としてもいい
私は疲れからか不幸にもチョンボをやらかす先生の方がしっくり来るのでそう捉えています

次の論点はこのチョンボの重さですよね
「自分がもし隠している秘密を他人に(故意でなかろうと)バラされたら…」という感情移入から嫌悪感を抱く方がいてもおかしくありません
実際このあとカズサを傷つけてしまいますし

作中で生徒がやらかすのは仕方ないとして『大人』である『先生』がやらかすのは許せない!という感情を否定はしません
初見時の自分もカズサへの申し訳なさでいっぱいだった気がします

ただ前置きにも書いたようにこれは「カズサ」が「先生」にされたことなんですよね
なのでそれを許すも許さないもカズサが決めることだと私は思いますし、結果的にはカズサの問題にスイーツ部を巻き込むために必要なものだったと解釈しています

ただこれは自分はそう解釈したというだけで正解だと思っているわけではなく…

はい、まとまらないまま長くなりそうなので本編に戻ります



カズサとの夜会話

先生はカズサを呼び出して今日の経過を伝えることに

素の表情を引き出せる関係って貴重ですよね

レイサが決闘を楽しんでるのが昔のまますぎて目障りだと
これは深読みかもしれませんが、昔のままという表現からレイサに対して昔のカズサ自身の姿を重ねているとも考えられます
蓋をして隠したい昔の自分の影につきまとわれるようで、レイサ本人のウザさ以上に忌避したいものになっているように感じます
いや普通にレイサはウザわですけどね

そして先生のやらかしも当然バレて

(暗黒微笑)ですが美少女がやると様になりますね

ブルアカはやっぱ大事な場面で『子ども』ってフレーズを出してきますねぇ
そしてそんな過去の自分から「急に目が覚めて悟ったんだ」と……

メインストーリーのような重たい責任を負わされたり状況に追い込まれたりした結果ではないですが、それでも自己のアイデンティティにとってはとてもとても重大な瞬間だったのだと思います

「子どもだったんだ」「大人にならなきゃ」そう捉える生徒に対して先生は、ひいてはブルアカという作品は一貫して「急いで大人にならなくていいんだよ」という解答だと思います
これはベアおばの「大人に利用される存在として『子どもは所詮子ども』」と捉えているのとは違います
実際にキヴォトスが生徒の力で回っている以上綺麗事になってしまう場面もありますが、周囲に大人のような役割を求められている生徒も子どもに戻る瞬間があっていいし、そのために頼る相手がいないなら自分を頼ってほしい

ある種先生のエゴでもあり、例えばカンナの絆エピでは押し付けが過ぎて呆れられるようなシーンもあります
カンナの場合は本人がその大人的な役割に納得して満足しているのでそのままでいいし、それは先生とのやり取りがあったからこそ再確認できたことだと思います

では今回のカズサはどうなのか
それはまた後ほど語っていきます

この返答からもカズサと先生との捉え方の違いが出てますよね
ほんとうにそれでいいの?まだ解決していないんじゃない?とでも言いたげです
含みをもたせる表現の多いこと多いこと
いいですね解釈の余地があって



あぁもうめちゃくちゃだよ

そして後日カズサとの相談はまだ続くようで

初見時の自分もカズサと同じく「これってカズサ側の問題なんか…?」とはてなマークが浮かんでいました

そして問題のシーンですよ

かわいすぎるだろっ!
ナツがノリノリなのは当然として、アイリもノリノリなのがだいぶギャップを感じていい
アイリは純粋ないい子なんだけど悪ノリも自然とできるという隠れたおもしれー女ですよこの子

そしてほぼ変化のないヨシミよ
もう素がスケバン、素でヤンキー
別にヨシミ自身にスケバンの過去があるわけでもそういうのが好きなわけでもなさそうなんだけど、もう魂が根っこからヤンキーなんですよね
仲間想いで自分の感情に素直で言葉遣いが荒くて真っ赤なパーカーで……
逆になんでこの子ヤンキーじゃないの?

よくよく考えればトリニティでパーカーにスポーツバッグってだいぶ浮いてるな
ヨシミ……こいつのポテンシャルはとんでもねーですよ…

いい子過ぎて泣けてきます…
おじさん弱いんだよ…
こういう誰かのために馬鹿やれる青春らしさに……

ただ悲しいことにその想いはカズサにうまく伝わらない、というか外からのアプローチだけで解決する問題じゃないんですね

恥ずかしさとは前述の通り「『他者から良くない認識をされる』と本人が思い込んでいる」というあくまで本人の問題
なので周りの人間から「そんなことないよ」と言ってもらうのは必要なステップですが、それを本人が“優しい気遣いをされた”と受け取ってしまうと解決には繋がりません

私にも思い当たる経験しかありませんが、中高生にとって言葉を額面通りに受け取ることのいかに難しいことか
スイーツ部の面々と付き合いが長い分そういう気遣いのできる子たちだとカズサが思っているからこそ、なのかもしれません

そんなすれ違いにやきもきしているところに

あーあ、最悪なタイミングで来ちゃったよ

あーもうめちゃくちゃだよ

このすれ違いが多重の玉突き事故を起こして収集つかなくなるのめっちゃ好きです
ナツは悪ノリしてる自覚アリそうですけど

はいここで2つ目の賛否ポイントです
この一連のノリに先生もウキウキで乗っかってしまいます
これを不快に感じる人が多かったようです

自分も不快とはいかなくてもやっちゃうんだ?!と驚きました
しかもその後

カズサの重い独白が挟まることで余計に悪者感が出ちゃっています

せっかく選択肢があるなら参加しない選択肢も用意して欲しかったと思います
「とりあえずレイサを落ち着かせよう!」みたいな
もしくは戦闘後にフォローする選択肢と別に「ごめんなさい…」と謝る選択肢があれば溜飲を下げられたのかもしれませんが、当事者なのに庇うような言動はダサいですよね

今回のシナリオはカッコいい大人の先生の時間が長いのでたまに出てくる距離感バグり先生との違和感を覚えるのだと思います
この振る舞いが嫌いだ、という人も当然居るかと思います

ですがね〜、ここで先生が道化になるのは必要ではあったと思うんですよね〜
先生って『大人』じゃないですか、もう『子ども』ではないんですよ
けど『大人』でもふざけたり遊んだり失敗したりしてもいいと思うんですよね
先生なんて生徒に助けてもらってばっかりですし

でも生徒から見るとそう映ってないのかもしれません
特に知り合って日の浅いカズサには

カズサは昔の自分を『子ども』だったと恥ずかしく思っている
ならば『大人』である先生はその対極の人間だと考えているのかもしれません
恥ずかしいことをしない、分別のある、『子ども』じゃない、そういう存在が『大人』であると

『大人』は責任を負うものだと先生は口にしますが、だからといって常に完璧人間でなくても、『子ども』らしいところがあってもいいじゃないですか?
それらは矛盾しないと思います
『大人』の子どもっぽいダサい姿をカズサに見せることって必要なステップだったのかもしれません

にしても荒療治ですがね
カズサだから落ち着くところに落ち着いたし、スイーツ部とレイサだから上手に転がったところはあるでしょう
自分はそこも含めて先生のよくやる「生徒を信じる」ムーブの一貫だとも解釈しています

これぐらいにしてストーリーに戻ります

レイサをのして事態は落ち着きますが当然カズサはブチ切れ
一方でナツの悪ノリが止まらないところ

えらい!
空気をぶった切って思ったことを言えるのえらいよヨシミ
なかなかできるもんじゃない
もうヨシミの株が爆上がりですよほんと

そしてちゃんとそれが伝わるナツ
どこまで本気でどこまでおどけているのかを推察するのは難しいですが、行き過ぎても止めてくれる信頼のもと好き勝手やっているように見えます

ついにこのときが来てしまった…
カズサの想いがレイサに伝わってしまいます
ろくに話したことないと言っていたのでこれが初めてだったのでしょうし、どれだけの衝撃だったのか

決してカズサは悪くないのですが、どうしてもこの場面はレイサにも感情移入してしまいます
レイサはこれをどう受け止めるのか
次に続きます



レイサとの夜会話

その日の夜先生はレイサを呼び出して話をします

ぐわああああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああ
切ない、胸が締め付けられる

“そういう話じゃないから、顔を上げて。”

この台詞がよすぎる
会うなりレイサが一方的に話して結論を急ぐ、でもその顔はうつむきがちで……
この一言でシーンの情景が鮮明に浮かびます

初見時のレイサは話を聞かずにカズサに迷惑をかけるメイワクな子であったのは間違いないです
ただそれはカズサから話を聞く機会がなかっただけで、聞いた上で分別のある選択ができる子だったんですね
自分の生きがいと言ってもいいような大事な部分ですら、他人の迷惑になるなら我慢してしまう子なんですね……

その後キャスパリーグの噂がスケバンの間に広まりレイサは追われることになります
レイサ自身にとって整理して飲み込むのにまだ時間が必要なはずなのにこの子は

うおおおおおおおおおおおんんん
そんなこと笑顔で言わないでくれ
苦しい、苦しい
先生ではどうすることもできない無力感がこれ以上なく襲ってきます

ここにもまた背負わなくていい『責任』を一人で背負おうとする生徒がいる…
なんとか…なんとかしてくれよ先生…!

先生が口を挟む暇もなく、レイサは「挑戦状」を先生に手渡し、先生への感謝、カズサへの謝罪を述べます

ただ最後に少しだけ本音を語ってくれます

バカバカバカバカバカレイサ
なんでそんなことを笑って言うんだよ
ちくしょう…………


私の情緒はこの一連のシーンでボコボコにされました
レイサへの先入観もあってエモいシーンが余計に感傷的に映ってしまって…
何回ブルアカに殴られれば気が済むんでしょう
感情ボコボコになるのが気持ちいいので今後もやめられないと思います(ドM)




カズサとの夜会話

レイサはそのままスケバンとの闘いに消えてしまい、先生は預かった言伝とともにカズサのもとへ

カズサの逡巡がこの間と微妙な表情変化から伝わってきます
気づいたとしても何も聞かずに去ることもできたはずです
でもそうしないのがカズサなんですね
鈍感になりきれないというか他人になりきれないというか
優しさ、と形容してもいいのかもしれません

こういう1しか言わずに10を伝え合うコミュニケーションが奥ゆかしくてたまりませんな
カズサが断れないのを分かっていて言ってる先生が憎たらしくてニヤニヤしてしまいます

うおおおおおおおおおおお!!!!!
こんなのもう確定演出でしょ!!!
腐れ縁のライバルを貶すところから入るのはもう1周貶し終わってから「でも」に繋がる王道展開ですやん!!!

たまらねぇぜこのイケメン
こっからはずっと嬉しいやらワクワクやらで拳を握りしめながら読んでいたと思います

ここでこのシーンのサブタイトルを見てみましょう

印象的なセリフがタイトルになってるオタクの好きなやつじゃ〜〜ん!!
読み始めるときにこれが表示された時点でうおれるぐらいには熱さが最初っから伝わります
なんなら特殊演出でカズサとの会話後にタイトルドドン!と出すアニメを観た気すらしてきます

グレンラガンにスイーツ部回ありましたよね?(存在しない記憶)



スイーツ部最高


レイサを助けに行くぞおおおおお(でもどうなれば解決なんやろ…)と色々考えながら読み進めると

うおおおおおスイーツ部最高!
あんなことがあったのにまったく何も変わらず助けに来て言い合いして茶化して…
多少のことでは揺るがないこの安定感がスイーツ部なんだと何度となくこれでもかと見せつけられます

そしてまたクサい台詞をノリノリで言うナツと観察者羞恥が働くカズサ

この本気でぶつかりあってるのにどこか澄み切った青春の風が吹くような爽やかさ
あぁこれこれ、まさにブルーアーカイブ

そして孤軍奮闘するレイサのもとへ

自分で言って自分でツッコむのが独りであることをより強く印象付けますし、独白として本音が出てしまい

レイサぁ…… お前はさぁ…
この感情は最終編第3章のリオを見ているときと同じです
感情や願望をうまく吐き出せずに内に溜め込んでしまう子たちが一人のときに見せる本音の表情がたまらなく狂おしいほど心を掴まれます

レイサとカズサの共闘だああああ!!と思ったらスイーツ部の登場シーンでレイサは気絶してしまった模様
ほんとに限界だったのかな…  お前はさぁ……

そしてこっからは放課後スイーツ団の舞台!
当然ナツが黙っているわけではなく

どすこいヨシミすき
ほんとこの子は直感的に動く分、調子に乗っていいとき悪いときがよくわかってる

真剣な顔してアホやってるのが一番おもしれーんだから

そしてここ!ここ見てください!

今まで先生は別枠として強く批難しなかったのに宇沢やスケバンと同枠でキレられてるんですよ!!
いやー感慨深いですね…
途中で語った『大人』や先生だって特別な存在じゃないんだよってようやく伝わったような気がします
生徒をキレさせるのには定評のある先生ですからね、これもPerfect Communicationですよ

んでスケバンとの抗争が一段落し気づけば朝に
カズサの慣れてる感もうまく出してます

ここ細かいんですけど自分のブルアカだいすきポイントです
読んでると知らない単語が出てきて「ん?」ってなることあるじゃないですか
ゲマトリアみたいなあえてそうしてる場合を除き、すぐに誰かが聞き返して答えてくれるんですよね
話がただ分かりやすいだけじゃなくて些細な疑問→解消があるおかげでちょっと気持ちいいというか、そのちょっとした起伏で文章が平坦にならず興味を持続させる効果があると思うんですよね

ほんっとうに細かいしそう感じているのは自分だけかもしれませんが、読ませる工夫に富んでるなとよくよく感心しきりです

カズサもナツもアイリもヨシミも自然体で…
これが…青春の味かぁ……沁みるなぁ……

そしてレイサは寝かせておいて大丈夫と元カノみたいな匂わせ方してくるカズサ
ろくに話したことないのにお互いのことをよく知ってて意識しあってて……エモいなぁ
百合というよりは少年漫画のライバル的な文脈でしょうか

そして

おいおいおいおいおい
いいのか、カズサ……

挑戦状を渡されたときあんなに察しがよかったカズサが、ここで返すことの意味とそれをレイサがどう捉えるかなんて分からないはずないじゃないか

カズサが自分の意志で挑戦状をレイサの元に置いていった
これ以上言葉にするのは野暮かもしれませんが、カズサ自身がこれまでのレイサとの関係性、さらに過去の自分自身も肯定できた瞬間だと思います

カズサが一歩踏み出せたところでこの笑顔ですよ

笑顔も朝日も眩しいなぁ
あぁよかったいいものを観れた

ここでイベントストーリー終わっても満足感あったと思います
なのにまだ続くんですよこの神シナリオ

手厚すぎるぞおい



キービジュ回収綺麗すぎる


後日談としてカズサから感謝を述べられます

この辺りから察するに先生ははじめからカズサの抱える問題と解決の道筋が見えていたのかもしれません
ただ展開が意図したものかは怪しいですし、「こう育ってほしいなぁ」と願った通りに育つ子どもなんてほとんどいませんからね
結局はカズサ自身が成長できたからこそのハッピーエンドだと思います

前置きにつらつらと書いたことの結論としては、経緯がどうあれカズサ自身が納得して感謝を述べている以上これが正解のルートだったのかなと思います

過去に蓋をして今を生きるのも、過去を認めて共に今を生きるのも、それぞれの人にとっての正解があります
ただその過去が本人にとって楽しかった過去だったとしたら、それを今が否定してしまうのは悲しいなと私は思います


一件落着、ではあるんですがなぜそんなカズサがスイーツ部に?という理由を恥ずかしそうに語ってくれます

え、エモ
エモ
エモモモモモエモモエエエえええエモおおおおおお?!???!

えー!聞いてないよこんなエモいエピソード!
咀嚼するのに時間がかかってます
順番に噛み砕いていくとまず昔のカズサはやっぱり楽しそう
そして目に止まる、そのシルエットがアイリなんですね〜〜〜〜〜

人生を変えるのは劇的な出来事ばかりじゃないんですね
何気ない、ほんとどこでも見られそうな風景だったのでしょうが、普通だけど普通じゃないアイリの魅力がそこにあったのでしょう

それをカズサはこう表現します

やわらかくて、暖かい……
いい、すごく詩的で、簡潔で、でもこれ以上に当てはまる言葉が見つかりません
添削の必要などありません!

ストーリー序盤にもあった、先生に話しているうちに自分の中で整理がついて言葉が見つかっていく感覚
ほんとうに巧みですね

分かっていても直接言うのではなく気づかせる
先生冥利に尽きますね
それをずるいというカズサも含みがあってほんま奥深くて狂いそうになる

先生がスイーツ部を訪れた際にナツの言っていた言葉

カズサがこのことに気づいて、その歪さを許せるのかが今回のシナリオのゴールであり、今まさにゴールテープを切りました

おめでとうカズサ
ほんとうにありがとう放課後スイーツ部
ありがとうブルーアーカイブ

カズサの物語がキレイに締まったあと罪なきスケバンをしばき、なんとCパートまで用意されてました?!

もう放課後スイーツ部の大ファンになっちゃったので永遠と他愛のない漫才を見ていたい気分です
そうやって余韻に浸っているとき

えっ
えっえっえっうそうそうそだ
そっちも回収してくれるんですか!?
全員救ってくれるんですか???!!

うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
きたきたきたきたきたきた!!!!!

カズサの悪友としてレイサを暖かく迎えるスイーツ部、ここぞとばかりに弄ぶナツ、それに悪ノリするヨシミと止めないアイリ……
そしてレイサとカズサ……
挑戦状の下りで匂わせてくれるだけでも十分だったのに模範解答まで用意してくれているの感謝しかない

しれっとアイリ入れてないのすき
そんなカズサをさえぎるように

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!

もうほんと嬉しすぎて涙出てくる…
まさかこんなトゥルーエンドが待ってるなんて思いもしなかった…


そしてこのスチルですよ…!!
うまい、上手すぎるっ!!!
予告のときの第一印象から、全員のキャラクター性を掘り下げ、紆余曲折あり、関係性は変わっていないけどそれをどう捉えるかの内面が変わっているから意味合いが変わっている

放課後スイーツ物語、最高でした



まとめ

というわけで長文&駄文失礼いたしました
初見時の興奮や再読時の噛み締め具合が伝わっていたら幸いです

こんなにも素敵ですごい部活のシナリオを始めたての頃に読んで「これソシャゲのイベストってレベルじゃねーぞ!」となれたのはいい経験でした

ほんとうにこのお話が好きすぎて初見時から今回の復刻まで刺さって抜けず、そして今後もずっと胸に残り続けると思います

復刻されたしせっかくならブログにしたいしで改めて読み直すと、ブルアカらしい良い点も他であまり見かけない良い点もたくさん見つかって非常に楽しかったです

例えばこんなに複数人の間で矢印が飛び交ってる部活も少ないと思うんですよね
カズサとヨシミ、カズサとアイリ、カズサとナツなどそれぞれに違う種類の矢印が向いている

その特異さはスイーツ部自体がなにかの活動を目的に集まったわけでも、誰か一人のリーダーシップで成り立つわけでもない緩さからなのかなーとか考えてます
だからこそ柔軟で、ちょっとした亀裂やヒビが入った程度じゃ揺るがない
サクラコ様とかツルギとか入ってきてもスイーツ部として在り続けられる、そんな懐の深さを感じます

復刻時の変化としてもう一つ大きいのはレイサの実装ですね
当然天井でレイサをもらいまして絆エピソードを見ました
しっかりレイサの掘り下げをしつつ、絆エピソードの中でひとつ、またひとつとレイサが成長してくれました

見慣れた光景も誰かと一緒に見ると変わって見えるってのは王道ですがとてもエモいし、ナツのいう「ロマン」や美食研のハルナのいう「美食」にも繋がる考え方だと思います

それを先生との色恋の方向に持っていくのはもったいないんですよ
もっと広くて大きくて深い感動的な気づきなのに

先生という他者を通じて自分や周囲の新たな一面に気づく、ぐらいの塩梅の絆エピが好物なのでその点レイサは最高でした

あと声がウザカワすぎるだろ
テンション高くて暑苦しい生真面目さのあるウザさで、コユキとはまた違うウザさを産み出してくれました
ほんとうに命を吹き込んでくれる声優さんたちに感謝感謝です

また復刻に合わせて公式漫画 あおはるレコードのスイーツ部回 が更新され追加エピソードとして一億兆点なので、まだ見ていない方はぜひ



おまけ

ここからはちょっとした近況語りになります

最終編以降のブルアカは正月便利屋、忍術研究部2つ、メイドゲーム部というイベント更新でした

便利屋はさておき、忍研とゲーム開発部はブルアカを代表する好きなことにこだわる部活です
それを子どもらしいだとか古いだとか周囲にいくら馬鹿にされようとも

好きなものを好きなままでいい、というメッセージはブルアカ全体を通して感じますし、オタクを肯定してくれるようで安心感があります

その点ではスイーツ物語もそういった過去を肯定するお話だったと思います


完全に個人の話になるのですが、先日劇場公開された「グリッドマンユニバース」を観て熱くなり、オーイシさんの「uni-verse」を聴いて熱くなったオタクにはタイムリーだなぁと勝手にじ~んときてました
オーイシさんのグリッドマンの曲はどれも少年の頃の夢を肯定している、熱くて優しい名曲ですよね

自分は特撮好きというわけではありませんが、それでも十二分にメッセージが伝わりましたし最高な作品であり大好きな曲です

例えば「インパーフェクト」の2番サビ

大切なあの人を想う時
誰だって小さな主人公になれるはずだよ

とかまさに最終編第3章のアリスの台詞だし

「uni-verse」の1番Bメロ

自由自在に手を伸ばしたシナリオ
ジャンクだらけに見える今日の日も

なんてブルアカのキャッチコピー「何気ない日常で、ほんの少しの奇跡を見つける物語」そのままだし

2番サビの

そして時間さえ越えて いま君と交わる

はクロコやプレ先のことを語っているようで…

すっげぇブルアカと親和性あると思うのでグリッドマンを知らなくても聴いてみてほしいし、いつかどなたかが音MAD作ってくれるの待ってます(他力本願)